研究課題
Aldh2ノックアウトマウスに(1)20%エタノール5g/Kgを腹腔・経口単回投与(2)給水ボトルにエタノールを0-20%混入し5週投与(3)給水ボトルにエタノール0-3%混入し自然死まで投与を行い以下の知見を得た。1. エタノール投与後のALT値はKO群でもっとも低かった。5週投与群のwild,hetero群ではエタノール投与によってALT値の上昇がみられず、KO群では有意に低下した。KO群で肝細胞壊死像が少なかった。2. TNFαの発現量がKO群では低下傾向を示した。リン酸化ERK2がエタノール投与後減少していた。ALT値、TNFα、リン酸化ERK2レベルに有意な相関がみられた。3. CYP 2 E1(エタノールによる誘導が知られており酸化ストレスの原因となる)の発現部位、量を免疫組織染色で検討した。肝、腎ではWTマウスと比較しKOマウスのコントロール群で発現が強く、エタノール投与によってさらに増強された。4. MDAはKO群で比較的低値、GSHはWTマウスで比較的低値となり、酸化ストレスがKO群で緩和されることが示唆された。5. 肝臓のDNAアダクト(N(2)-ethylidene-dG)がWT<hetero<KOの順で増加していた。6. 通常飼育していても、ALDH2の遺伝子多型によって体重、トリグリセリド、ALT値に有意差が観察された。これらの結果より飲酒習慣のある変異型ALDH2遺伝子保持者ではALTが低下する可能性が示唆された。ERKシグナリングを介するTNFαの発現の抑制がALT低下の機序として考えられた。CYP 2 E1は変異型ALDH2遺伝子保持者で強発現している可能性が示唆された。飲酒によってさらに発現が増強することが考えられるため、酸化ストレスによる健康障害のリスクが野生型ALDH2遺伝子保持者よりも高い可能性がある。
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