研究概要 |
サンプリングについて:浮遊粒子のサンプリングは国道43号線、阪神高速自動車道に隣接する本学5階屋上に設置したハイボリュームエアーサンプラーおよびアンダーセン型ローボリュームエアーサンプラーを用いて行われている。一括して集めた粒子および濾紙上に分別した粒子はソックスレー抽出機を用いて有機溶媒によって有機的な化学物質を抽出し、粒子と分別した。抽出物は極性ごとに更に分画し成分分析により含まれる主要な化学物質を同定している。現在までに各粒子径ごとに含まれている化学物質の組成は主要なものに関して大差がないと考えられた。ハイボリュームエアーサンプラーによって採取した粒子は化学物質を抽出した後に乾燥し、水相に懸濁し0.22μmのポアサイズのフィルターによって水溶性化学物質と分離した。得た粒子を2.5,5.0,10μmのポアサイズのフィルターによって分取した。 インビトロによる曝露について:各フィルターによって粒子径ごとに分画した粒子は純水中に懸濁し超音波によって分散させてから設定した各濃度でマウス肺細胞株LA-4に曝露した。曝露させた粒子に細胞毒性が有るかを評価するために、細胞増殖、ATPの測定、SOD活性の測定などを行っている。現在までに10μm以上の巨大粒子に比べ2.5μm以下の粒子の方が毒性の強い傾向が見られ、また超音波により粒子を分散させる時間が長い方が細胞毒性が強い。今後、粒子および粉塵中に含まれる主要な化学物質を暴露した細胞から蛋白質を抽出し、二次元電気泳動に展開する。発現量、電荷、分子量に変化のあるスポットについてTOF/MSによる解析を行い蛋白質の同定をする。
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