がんの新規スクリーニング法としてのDNA定量の意義を検討するため、本年度は1.対象者サンプルの選択、2.Real-time PCR法によるDNA量定量法の確立、3.サンプルの測定の三項目に関して実施した。 1.対象者サンプルは、乳がんを症例(138名)と性・年齢適合対照(138名)、食道がん症例(174名)と性・年齢適合対照(174名)、悪性リンパ腫(110名)と性・年齢適合対照(110名)を選択した。乳がんに関しては、各臨床病期情報を元に早期がん患者を中心とした選択を行った。 2.Real-time PCR法によるDNA量定量の実験系の確立に関しては、本年度新規に導入されたApplied Biosystems(AB社)Real-time PCR Fast7500を元に行った。AB社のRNAaseP gene測定キットを用い、検量線法による抽出試料中のコピー数を定量する系を確立した。テスト用サンプルを用い、DNAの抽出方法による差を最小化するため、Qiagen社BIO-Robo EZ1を用いた機械抽出法と、Qiagen社Blood Mini Kitを用いた抽出法の双方を比較検討した末、最終的にBlood Mini Kitを用いた抽出法を用いた方が安定した結果が得られることを確認した。また、1検体あたりの複数回測定に関する検討の結果3回測定よりも6回測定の方が安定した結果が得られることを確認した。 3.上記確立された定量実験系に基づき、対象者サンプルの測定を行った。測定は、対象者の担がん状況を検査者にマスクした形で実施した。現在データの固定作業を実施しており、データ固定が終了次第解析に取りかかる予定である。
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