研究概要 |
睡眠時の呼吸音と寝具などの摩擦音を分離して睡眠時の呼吸音のみを解析するために,超小型バックエレクトレット型マイクロホン(直径3mm、厚さ1.5mm)と直接伝導型加速度マイクロホンを用いて,いびきをかく被験者の睡眠時呼吸音を記録した。呼吸音はトランジスタ増幅回路で増幅後,サンプリング周波数2000Hzでパーソナルコンピュータのハードディスクに保存した。(1)被験者外鼻部に装着したバックエレクトレット型マイクロホンでは,被験者のいびきのみが記録され,(2)前胸部に装着した直接伝導型加速度マイクロホンでは,呼吸音,いびきおよび寝具の摩擦音が記録された。また,(3)被験者頸部に装着したバックエレクトレット型マイクロホンでは,いびきと寝具の摩擦音が記録された。これら3つの信号にウェーブレット変換をかけ,スケログラムを作成した。(2)のスケログラムから信号強度を適当に調節した(3)のスケログラムを減じたとき,呼吸音のみのスケログラムが抽出され,(3)のスケログラムから信号強度を適当に調節した(1)のスケログラムを減じたとき,寝具の摩擦音のみのスケログラムが抽出された。これにより被験者の呼吸時に生ずる気流音といびきを寝具の摩擦音によるアーティファクトを除去して解析することが可能となった。気道の閉塞状況や部位によって,気流音やいびきの周波数スペクトラムが異なることが予想される。したがって,次年度以降,睡眠時に異常な呼吸音を呈する被験者について,本年度作成したシステムで睡眠時の呼吸音を解析し,睡眠時のさまざまな異常呼吸音を収集・解析して,気道の閉塞状態との関連性について明確にする。また,これらの解析結果は,呼吸音解析による睡眠障害スクリーニング法を確立するための基礎データとする。
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