研究概要 |
栃木県下都賀郡都賀町の小学校3校の5〜6年生とその保護者を対象に、性に関する正しい情報の伝達や啓発がセクシュアリティーに関する知識の習得および問題解決に効果があるかどうか評価するための地域介入研究をおこなった。 本年度は、ベースラインデータとして都賀町保健師と養護教諭とともに実施した性および性感染症についての意識や知識に関する実態調査の結果を分析した。「異性との交際」や「性の興味」についての意識は、小学校5〜6年生とその保護者との間に大きな違いがみられた。また、保護者の多くは性教育を「家庭と学校の両方でするべき」と考えているものの、「避妊」「性感染症予防」「性情報の受け止め方」といった具体的な技術に関して子どもに教えた経験がある保護者は20%程度と少なかった。これらの結果を踏まえて、「1,地域ぐるみでの思春期保健の推進」、「2,保護者に対する支援の充実」、「3,学校等との連携」を大きな柱とした地域介入を計画した。そのうち、「1,地域ぐるみでの思春期保健の推進」の1つとして、小学校6年生を対象とした「夏休みふれあい体験学習」を実施した。町で実施する4か月児および1歳児健診を受診した親子の協力により、小学校6年生が乳児の着替えやだっこなどのふれあいを体験するもので、生命の尊さを学び、将来の父性および母性をはぐくむことが目的であった。参加した児童は子育ての大変さとともに母子の絆などを感じ取っていた。また、「2,保護者に対する支援の充実」の1つとして、HIVと性感染症に関する情報を保健センターだよりとして発行した。これらの地域介入は平成18年度も継続して実施し、平成19年度に介入の評価をする予定である。
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