研究の初年度として、共同研究の準備のため、温州医科大学(学長、副学長、公衆衛生大学院副院長)および予防医学教室の郭小娟教授を訪問し、研究協力体制を確立した。また、調査地域である内モンゴルにおいて、関係諸機関と次年度以降の研究体制について調整を行った(内モンゴル医科大学、五原県衛生局、勝利村)。内モンゴル医科大学においては、大学院院長、副院長と会談し、今後の共同研究に関する合意を得た。次に、研究対象地域である五原県を訪問し、現地の保健衛生関係者(五原県衛生局局長、保健所長、郷政府郷長)と今後の調査に関して協議を行った。その結果、現地の関係機関において現在までに五原県にある60の郷で井戸水をサンプリングして砒素濃度を測定したとの情報を得た。さらに、これらのうち砒素濃度が150ppbを超えた30の郷では、全ての井戸濃度を測定し、また人口調査を行っている。今後の調査として、砒素濃度を測定したこれら60の郷における過去5年間の死亡状況を調べ、砒素濃度と死亡率の関連性を検討するecological studyを実施する。さらに、死亡者については、死因を調べ、地域の砒素濃度を死因別の解析を行う。特に、がんについては病院のカルテを閲覧し、診断に関する情報、診断確定日、診断の根拠となった検査情報などを詳細に入手して分析を実施する。その他、五原県の病院院長と会談し、村民調査のための検診の協力を依頼し承諾を得た。
|