研究課題
本研究では、砒素汚染状況の地理分布、住民の暴露状況を把握し、慢性砒素中毒の健康影響を検討する。中国内蒙古五原県、地下水砒素汚染地域の約30の集落(郷)において、初年度に計画したecological研究を開始した。この地域における約60ある集落の井戸水を採取し、井戸水中の砒素濃度の測定を五原県の保健衛生機関が実施し、データの提供を受ける。このうち砒素濃度が150ppbを超えた30の郷では、集落中全ての井戸について、砒素濃度を測定した。また、約30の集落において、過去5年間の死亡に関する調査(死亡者数、死亡時期、性・年齢階級、および死因)を現地の戸籍、住民台帳の照会、および家族などからのインタビューによって実施した(平成19年度まで継続)。調査に当たっては、現地の関係諸機関の協力を得て実施中である。得られたデータを基にして、集落の井戸水中砒素濃度と、集落別の年齢調整死亡率、年齢調整がん死亡率などとの関連を検討し、飲料水からの砒素摂取と各種死因についての因果関係の検討を行う予定である。次年度の研究では、17年度、18年度に実施したデータを基に、標準的な環境アセスメント手法を用いて、飲料水砒素に関するリスクアセスメントを実施し、公衆衛生学的見地から現地関係機関へ対策に関わる意思決定支援を行う。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Journal of Epidemiology 16・5
ページ: 207-213