1.都内薬局・薬店における販売体制について 薬物乱用・依存の対象となっている一般用医薬品の管理体制を調べるため、都内主要駅周辺の薬局・薬店101店舗を対象に、商品陳列状況および販売体制について調査を実施した。対象医薬品は、鎮痛薬、風邪薬、咳止めシロップであった。カウンター越しの販売が徹底されていた店舗は、鎮痛薬75.2%、風邪薬43.0%、咳止めシロップ80.2%であった。残りの店舗では、陳列棚だけに並べられているか、カウンターと陳列棚の両方であった。陳列棚に空箱を配置するなどの万引き対策をとっていた店舗は、わずか5店舗であった。また、会計を行っていたのは、薬剤師(7.9%)、'薬剤師ではない従業員(38.6%)、薬剤師および薬剤師ではない従業員(25.7%)、不明(27.7%)であった。 2.医薬品依存症者へのインタビュー 医薬品依存症者の実態を把握するためにインタビュー調査を実施した、咳止めシロップに依存している48歳男性は、大学時代に仲間と遊び半分で飲んだことがきっかけであった。大学卒業後、営業の仕事を始めてから、仕事の緊張や上司・仲間からのプレッシャーから逃れるために、服用量が増え、依存が形成され始めたという。以下はインタビューからの抜粋である。 「会社の地下に薬局があってさ。地下街に。朝そこに行って、会社始まる20分前ぐらいにトイレ行って飲んでさあ。昼間は外出先で1本買って、夕方、家のそばで1本買って・・・」「2本くださいって言って、『あなた依存症でしょ?』って言う人なんていないよ。そこまで言う人はね。」「ボロ儲けだよね。お店にとって、こんな良い客いないよ、定期的に何本も買って。1年中買うわけだからさあ。」 3.来年度の予定 来年度は、埼玉県薬剤師会の協力を得ながら、県内の薬局薬剤師を対象に薬物乱用・依存に対する認識と一般医薬品の販売体制に関する疫学調査を実施する予定である。
|