1.虚血時Gap Junction(GJ)およびHemi-channel(HC)機能変化と心拍動リズムの関係について これまでの研究から、ラット心筋初代培養細胞のOxygen-Glucose deprivation(OGD)による虚血モデルにおいて、(1)心筋コネキシン43(Cx43)のタンパク量が1時間をピークに一過性に上昇すること、(2)この時、GJを介した細胞感情報伝達およびHCを介した細胞内外における低分子物質の非選択的授受機能が上昇することを明らかにしている。 そこで、これらの機能変化が心拍動リズムに影響を及ぼすのか否かをvideo edge-motion detector systemを用いて測定した。細胞をOGDに暴露すると直ちに拍動数は低下したが、一定のペースで拍動していた。しかし、HCのブロッカーであるLa^<3+>を加えてOGDにすると、不規則な拍動リズムが観察された。GJブロッカーであるOctanolでは拍動数をさらに低下させたが、リズムの乱れは生じなかった。 2.虚血による心拍動リズムの変化とCa^<2+>トランジェントの関係について 心拍動のOGDによる変化が細胞間の拍動の同調に影響を及ぼしているのか否かを明らかにするために、カルシウム蛍光指示薬Fura-redを細胞にローディングし、心拍動に伴うCa^<2+>トランジェントを観察することにより拍動の同期を評価した。その結果、OGD条件化において拍動の同期は保たれていることが明らかになった。 3.虚血によるCx43増加とGJおよびHC発現との関係について OGD1時間におけるCx43の増加を免疫染色法により形態学的に観察したところ、細胞膜上のCx43の染色が有意に増加していた。 以上の結果から、OGD1時間において、細胞膜上のCx43の発現量が増加することによりHC機能が上昇し、心拍動のリズムに何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。
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