1.ラット灌流肝において、生理的濃度のアルコールでは著明なJNKおよびAktの活性化は認められないが、肝臓のアルコール代謝を阻害すると著明な活性化が認められた。この活性化は抗酸化剤を投与すると抑制された。このことより、肝臓の代謝が低下した状態は、アルコールによる酸化ストレスを介する肝障害が増強する可能性を示す。 2.ラット灌流肝において、アルコール代謝阻害下でのアルコール負荷時およびマニトールを用いた浸透圧ストレス負荷時に、小胞体ストレス反応のマーカーの1つであるGRP78 mRNA発現量が低下した。 3.ラット灌流肝において、JNKとJNKの足場タンパクであるJIP1および生体防御に関するプロテインカイネースAktの結合関係について検討し、JNKがアルコールにより活性化したときに、JIP1と非活性型のJNKが結合しJIP1と活性型Aktが結合していることを認めた。AktとJIP1の結合により、JNK活性化が制御されている可能性を示唆する。 4.ラット肝細胞において、活性化したJNKは活性化したAktにより抑制された。 5.ラット肝細胞において、多価不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸に比べ細胞内の脂質の蓄積を増加し、GRP78 mRNA発現量を低下させる。
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