H17年度は、植物由来毒物の代表として、キノコ毒(アマニチン類)及びトリカブト毒(アコニチンアルカロイド類)の質量分析による高感度定量・同定法を確立した。アコニチンアルカロイド類は、C18と陽イオン交換樹脂のハイブリッドカラムを用いることで血清中より効率よく精製することができた。ESI-TOFMSによる測定では、10-300ng/mlの濃度で良好な直線性を示し、日内及び日間再現性も良好であった。体液中からのアコニチンアルカロイドの検出法に関しては現在、Journal of Mass Spectrometryへ投稿し、受理されている。 さらに、他の自然由来毒物の分析法に関しては、主にマイトトキシン及びブレべトキシンに関して、MALDI及びESIイオン化法による検討を行った。その結果、ESI法による測定が適していることがわかった。このことを踏まえ、今後これらの自然毒を新しいイオン化法であるLaser spray法を用いて感度よく側定する方法を確立する予定である。 Laser spray法に関してはイオン源の改良及びスプレー状態を監視するためのCCDカメラの取り付けを終え、より効率良いレーザー照射を行うことが可能になった。現在は、改良型Laser sprayイオン源を用いて、試験的にリン酸化ペプチドや乱用薬物などの測定を行い、シグナル強度が5-10倍程度向上するなど、良好な結果が得られている。
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