劇症型糖尿病調査委員会に寄せられた新規発症1型糖尿病で臨床背景が明記されている18歳以上の劇症1型糖尿病(F1DM)53名(M/F 36/17、発症年齢44.9±14.6歳)、非F1DM55名(M/F 23/32、発症年齢36.2±15.4歳)を対象とした。2群間の比較にはMann-Whitney検定、多変量解析にはロジスティック回帰分析法を用いた。 F1DMでは32名(60.4%)に対し非F1DMでは16名(29.1%)が肝酵素の上昇を呈し、前者で有意に多かった(p<0.001)。脂肪肝の診断は両群間で差を認めなかった。次に各群を肝酵素上昇の有無に分けて検討した。F1DMにおいて肝酵素上昇群では有意に血糖(924±428vs.578±275mg/dl、p<0.005)と中性脂肪(242±161vs.128±71.8、p<0.01)が高値であった。非F1DMにおいて肝酵素上昇群では有意にHbA_<1c>、(13.7±2.35vs.12.5±1.85、p<0.05)と中性脂肪(298±164vs.184±145、p<0.05)が高値で、インスリン使用量(0.63±0.23vs.0.52±0.34、p<0.05)が多かった。 ロジスティック回帰分析ではF1DMにおいて高血糖(p<0.05)のみが肝酵素上昇と関連し、非1DMではHbA_<1c>高値(p<0.05)、インスリン使用量が多いこと(p<0.05)が肝酵素上昇と関連した。新規1型糖尿病全例での検討では劇症型糖尿病であること、診断時高血糖であることが肝酵素上昇に関連した。また、脂肪肝との関連では発症時に中性脂肪が高値でありインスリン使用量が多いことが関連した。
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