まず、20Sプロテアソームを精製方法の確立を行った。マウスAIHモデルの融合細胞投与前、肝炎誘導時、肝炎収束時、IL-12投与による肝炎再燃時にそれぞれ肝臓を採取し、採取後すぐの肝臓をホモジナイズしフィルター処理後の上清をDEAEセファセルに供し、得られたプロテアソームを含むタンパク分画をショ糖密度勾配遠心に供し、プロテアソーム分画をMonoQカラムにより精製を試みプロテアソーム分画が得られることが明らかとなった。 この方法を用いて得られたプロテアソーム分画を二次元電気泳動により展開し、得られた各スポットを切出しトリプシン処理後にMALDI-MS解析を行ないプロテアソームのサブユニットプロファイルを解析する技術の開発、この方法によるAIHの発症、再燃時の肝内免疫プロテアソームのサブユニットプロファイルの比較を試みた。 AIHの発症時、再燃時のプロテアソーム分画の二次元電気泳動パターンは、ほとんど同一であったが、発症時にみられ再燃時にはみられないスポットが2個、逆に発症時にみられないが再燃時にはみられるスポットが1個認められた。この計3個のスポットのMALDI-MS解析によるプロテアソームのサブユニットプロファイル解析を試みたが、今回試みたプロテインチップ解析方法では、3個のスポット間での差異は認めなかった。 以上より、AIHの発症時、再燃時には、肝内で発現する免疫プロテアソームサブユニットプロファイルがわずかに異なっており、発症時と再燃時では提示される自己抗原の性状が変化し、それにより再燃が生じる可能性が示唆された。
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