NPAT遺伝子の発現を抑制するsiRNAを探索するために6ヶ所にsiRNAを設計した。ヒト子宮頸ガン由来のHeLa細胞に導入し、3日後にtotal RNAを抽出しcDNAを合成した。リアルタイムRT-PCRによりNPAT遺伝子の発現量を調べたところ、それぞれ82、21、23、24、51、52%であった。つまり、1種類はほとんど発現抑制がなく、2種類は半分程度抑制され、3種類は70-80%と高い発現抑制効果が認められた。この3種類が腫瘍増殖抑制実験に適したsiRNAであることが明らかとなった。このsiRNAをレンチウイルスベクターに組み込み、293FT細胞に導入し、レンチウイルスを産生した。発現抑制効果を同様にリアルタイムRT-PCRで測定したが抑制効果は低く腫瘍抑制実験にはsiRNAのほうが適していることが明らかとなった。ヒトの治療にはsiRNAのほうが適していることから今後の実験はsiNRAで実施することとした。 次にヌードマウスへの腫瘍の移植の条件検討を行った。ヒト子宮頸ガン由来のHeLa細胞、大腸ガン由来のHCT116細胞を5x10^5・4x10^6の範囲で細胞数を振って増殖能を検討した。HeLa細胞では2x10^6細胞を移植することで約10日後に100mm^3を越え抑制実験できることがわかった。HCT116は1x10^6細胞で同様に約10日後に抑制実験を行えることがわかった。どちらの細胞も細胞支持体のマトリゲルを併用することで細胞数が半分でも同じ増殖能が得られることがわかった。さらに中皮腫由来の211H細胞とH226細胞も同様に検討した。211H細胞は2x10^7細胞を移植すると約20日後に100mm^3を越えることがわかった。H226細胞は2x10^7細胞を移植しても30日を越えないと100mm^3にはならなかった。今後はHeLa細胞やHCT116細胞と同様に細胞支持体を併用しての増殖条件を検討し、siRNAを局注し腫瘍の増殖抑制効果を測定していく予定である。
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