前年度に引き続き、イノシシ肉処理施設の協力により得られたサンプル53検体について、昨年度検討したPCRスクリーニングをもとに調査を継続し、HEV感染イノシシの特徴的因子を検討した。また併せてRNA抽出・PCRについて見直しを行った。 【結果】 1.PCRスクリーニング:53検体中4検体(7.5%)が陽性であった昨年度(2.8%)より高率であったHEV陽性となったサンプルは体重26〜42kgのイノシシであった 2.ダイレクトシーケンス、系統樹解析(省略) 3.RNA抽出方法:簡便かつPCRの結果も安定した。 4.PCR再現性:同一検体において複数回実施しても常に同一の結果が得られた。 昨年度実施した72検体(陽性2検体;2.8%)と本年度を合わせると125検体中6検体(4.8%)となった。これら陽性となったサンプルのうち昨年度1検体と本年度4検体(計5検体)は、26〜42kgのイノシシであることから、イノシシは若齢期(生後1年程度)にREVに感染することが示唆された。 昨年度はRNA抽出・PCRスクリーニング法について検討を行いつつ調査を実施したため、PCR及びダイレクトシーケンスに一部検討を要することがあったが、本年度行ったRNA推出・PCRの見直しの結果、安定した調査結果が得られるようになり、ダイレクトシーケンスも三代らの方法に従い実施できたことからイノシシを対象にしたHEV保有調査の検査系は確立できた。 次年度は、さらに検体を収集し陽性サンプルを確保しつつ、HEVヒト由来株及びブタ由来株と比較検討を行い、特定地域におけるHEV保有イノシシの特徴的因子を探索する。
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