骨髄皮質側(osteoblastic zone)における多能性幹細胞(bone marrow extracted cells : BMEC)を、骨髄皮質を酵素処理した後、間葉系幹細胞に発現していると考えられる表面抗原をもとにフローサイトメトリーで単離し、in vitroにて骨・脂肪・筋細胞に分化させ、多能性を有することを確認した。 全身にGFPを発現した遺伝子改変マウスからBMECを単離し、それらを致死量放射線照射したC57BL/6マウスに骨髄内移植するとともに、野生型マウスの骨髄細胞も造血系の支持を目的として尾静脈より注入した。移植後2ヶ月の時点で末梢血を採取しフローサイトメトリーにてGFP陽性細胞が存在することを確認した。作成したBMEC骨髄移植マウスについて、まず負荷を加えない状況のまま移植後2ヶ月で免疫組織学的解析を行った。心臓を含めた全身の組織にGFP陽性細胞が僅かながら存在し、それらの多くは組織の間質に認められた。現在、それらの細胞のcharacterの同定を免疫染色にて行うとともに、近傍組織と同様の細胞に分化しているGFP陽性細胞がないか検索している。 BMEC骨髄移植マウスに心筋梗塞を作成し、その後G-CSF投与を連続10日間行った。心筋梗塞作成後2ヶ月の時点で、心機能評価のため心臓超音波検査と心臓カテーテル検査を施行したところ、有意に心機能の改善を認めた。検査後、BMEC骨髄移植・心筋梗塞マウスから梗塞心を摘出し、形態評価したうえで、組織切片を作成した。梗塞巣の免疫組織学的解析を現在行っている。
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