1.低酸素暴露マウスの肺微細血管の形態学的変化の検討 約10%酸素濃度の環境下で4〜8週間マウスを飼育、気管より5%ホルマリンを20cm水柱圧で肺を注入固定し組織学的に50〜100μmの肺微細血管を検討した。低酸素暴露6週目より対象(室内酸素濃度)に比し肺血管中膜の肥厚度(Medial thickness)の有意な上昇が認められた。Taconic社より購入したp53ノックアウトマウスを用いて、同様に8週間の低酸素暴露による肺血管リモデリングを検討したところ、室内酸素濃度下での野生型とp53ノックアウトマウスにはMedial thicknessに有意な差は認められなかったが、低酸素暴露では野生型マウスに比しp53ノックアウトマウスは有意にMedical thicknessが上昇していた。現在低酸素暴露によるp53、CDK inhibitorの摘出臓器での発現を検討中である。 2.肺血管細胞における低酸素下でのp53、CDK inhibitor p21、p27の発現の検討 低酸素暴露マウスに認められた肺動脈平滑筋、肺線維芽細胞の増殖について、培養ヒト肺動脈平滑筋細胞(HPASMC)を用いて低酸素培養器での低酸素暴露による細胞増殖とp53、p21、p27の発現を検討した。p53蛋白は0.1%の低酸素暴露と鉄のキレートであるDesferroxamineの投与により増加したが、p21蛋白は低酸素暴露のみでは上昇せず、鉄の担体であるFerric ammonium citrate存在下でのみ低酸素環境下で上昇した。現在、p53 siRNAによる遺伝子抑制下での低酸素暴露の影響を検討中である。
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