研究概要 |
線維化病変での骨髄由来線維芽細胞の骨髄内起源を同定するために、まずEnriched Hematopoietic Stem Cells(HSCs)の骨髄由来線維芽細胞への関与を検討した。骨髄幹細胞は、Sca-1(+)/c-Kit(+)の特徴を有するとされ、GFPトランスジェニックマウスからGFP(+)/Lineage(-)/CD45(+)/Sca-1(+)/c-Kit(+)細胞を回収することに成功した。このEnriched HSCsをWild type B6マウスから分離したSca-1(-)骨髄(BM)Cellsと混和し、放射線照射されたrecipientマウスに骨髄移植し、骨髄chimeraマウスを作成した。骨髄移植(BMT)day28及びday56において、chimeraマウスから骨髄・末梢血・脾臓検体を回収し、GFP(+)細胞を評価した。全骨髄細胞による骨髄chimeraマウスと比較し、末梢血・脾臓検体においてGFP+細胞の割合は、day28においてそれぞれ68%,59%とやや低値を示したが、day56までに80%以上を示した。このことにより、GFP(+)Enriched HSCsによって骨髄生着が可能であることが確認された。これらのマウスにブレオマイシンを気管内投与しマウス肺線維症モデルを誘導した。ブレオマイシン気管内投与後day28に肺組織を回収し、fluorescence microscopyにて評価した。肺線維化病変には、spindle-shape morphologyを呈したGFP(+)細胞が認められた。 現在集積されつつある報告と照らし合わせて、今回のdataは、collagen産生骨髄由来細胞の起源のひとつに造血幹細胞がその候補として挙げられうることを示唆するものと考えられた。今後さらに詳細な検討を継続する予定である。
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