研究課題
自然発症マウス肺気腫モデル(Tight-skinマウス)の換気メカニクスを測定し、その結果を数学モデル解析することによって、メカニカルストレスが弾性線維の構成成分であるfibrillin-1の機能異常とともに肺気腫の病態進行に深く関与することを明らかにした。次に、気管支喘息の病態形成に対するメカニカルストレスの役割を検討した。まず呼吸を模した条件での気道の生理機能を調べるため、モルモット気道平滑筋の組織標本の動的メカニクス(ダイナミクス)をオッシレーション法にて測定し数学モデル解析を行った。その結果、メカニカルストレス及び収縮刺激が平滑筋の硬さ(stiffness)を増強し、非線形性(nonlinearity)を低下させることを明らかにした。これはアクチン細胞骨格の再構築を介して引き起こされる現象であると考えられた。更に、メカニカルストレッチがモルモット気道平滑筋組織の持続性収縮反応を引き起こすことを見出し、この反応がstretch-activated Ca^<2+> channelからの細胞内へのCa^<2+>流入とRho-kinase及びcyclooxygenase-2によって制御されていることを明らかにした。また、培養ヒト気道平滑筋細胞を用いた実験で、単回メカニカルストレッチが細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させ、この反応がstretch-activated Ca^<2+> channel阻害剤Gd^<3+>で抑制できることを見出した。以上の知見から、気管支喘息の気道収縮の病態形成に対してメカニカルストレスが重要な役割を果たしている可能性が示唆される。
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Am J Respir Cell Mol Biol (January 26,2006,online publication)
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