研究概要 |
1)成人由来のマイコプラズマの分離と薬剤感受性の測定 成人マイコプラズマ研究会に参加する7施設より検査材料の送付を受け、マイコプラズマ(M.pneumoniae)を含む呼吸器感染症の主要な原因菌である6菌種に対するreal-time PCRを実施した。そのうち、マイコプズマに対するPCRが陽性であった検体に対しては、マイコプラズマ分離のための培養も実施した。分離後に薬剤感受性も測定した。2005年4月から2006年2月の期間に合計113検体の送付を受けた。対象患者の平均年齢は51歳であった。PCR陽性例の内訳は、マイコプラズマが20.4%、肺炎球菌が22.1%、インフルエンザ菌が15.9%、A群溶血レンサ球菌が1.8%、レジオネラが0.9%であった。培養で分離された14株のマイコプラズマに対するマクロライド系薬感受性は、すべて感性で、小児由来株のように明らかな耐性株は認められなかった。それらの株を用いてPFGE解析を実施したが、小児由来のマクロライド感性株と同様に2パターンを示した。 2)Molecular beacon (MB) probeを用いるreal-time PCR法の確立 マイコプラズマ肺炎を確定するには、1週間以上を要する培養法に替り、特異度高く短時間に検索できるMB probeを用いるreal-time PCR法を確立した。DNA増幅用primerとMB probeは16S rRNA遺伝子上に設計した。DNAの増幅は、95℃:5秒,55℃:15秒,72℃:20秒/cycleの反応条件で40サイクルとした。検査材料受付後、結果判明までの所要時間は1.5時間であった。PCRと培養との比較におけるPCRの感度は100%、特異度は95.4%と高かった。 継続してマイコプラズマの収集を行い、疫学調査を実施したいと考える。
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