Connective tissue growth factor(CTGF/CCN2)の腎および腹膜線維化における役割の解明および新規治療への応用を目的として研究を行い、以下の研究成果を得た。 1.CTGFの糖尿病性腎症における意義とその増悪機序の検討 ネフリンプロモーターを用いた糸球体上皮細胞特異的CTGF過剰発現マウスは、streptozotocinにより糖尿病性腎症を惹起すると、尿中アルブミン排泄の増加、メサンギウム基質拡大を起こし、その機序としてCTGF過剰発現マウスでは糖尿病状態でMMP2 mRNAおよび活性が低下していることを認めた。さらに糸球体上皮細胞関連蛋白であるpodocin発現の部分的な低下を認め、糸球体上皮細胞障害の増強が示唆された。 2.Adrenomedullinによる抗線維化作用の検討 ヒトアドレノメデュリン発現アデノウイルスベクターを腎間質線維化モデルである一側尿管結紮ラットの腎臓間質線維芽細胞特異的に導入することで、CTGF mRNA発現を減少させ、腎間質の線維化の減少とfibronectin mRNAの低下が認められた。 3.CTGF変異蛋白の作用の検討 CTGF蛋白はTGF-β1刺激によりfibronectin mRNA発現作用を有するが、CTGFのドメインIVのインテグリン結合部位を変異させた変異CTGF蛋白はfibronectin mRNA誘導作用を有さなかった。 4.腹膜線維症マウスに対するCTGF抑制 ヒビテンにより惹起した腹膜線維症マウスにCTGF中和抗体を投与しCTGFを抑制したところ、中皮下線維組織厚は対照群と同程度であったが、CTGF中和抗体投与群では対照群に比して壁側腹膜のMMP2 mRNA発現が上昇しており、蛋白分解系が亢進している可能性が示唆された。
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