1.血清NMO-IgG陽性の視神経脊髄型多発性硬化症の臨床的、画像的特徴の解析 視神経脊髄型多発性硬化症の63%で血清NMO-IgGが陽性であり、有用なマーカーとなりうると考えられた。NMO-IgG陽性患者では高度な障害を示す傾向にあり、特に失明を来した症例は全例NMO-IgGが陽性であった。NMO-IgG陽性症例の中には脳病変を来す症例も認められるが、古典的多発性硬化症に見られるような典型的な楕円形の病変は稀であった。視神経脊髄型多発性硬化症においても脳病変が生じうることを示唆していると考えられる。 2.2次元電気泳動を用いた抗原検索 ラットおよび正常ヒト脳のタンパク質を各々の可溶性で分画し、プロテインAビーズと共有結合させた患者血清IgGと反応させ、血清IgGと特異的に反応した蛋白を2次元電気泳動法にて泳動し、銀染色を行った。染色スポットを患者と健常者との間で比較を行ったが、患者に特異的な共通した蛋白質は同定されなかった。 3.SEREX法による抗原検索 既製のヒト脳cDNAライブラリーを用いて12例の視神経脊髄炎患者血清中の脳組織に対する自己抗体の検索を行った。2例の視神経脊髄型患者血清よりSNRK (sucrose non-fermenting protein-related kinase)、1例でCStF(cleavage stimulation factor subunit 2)、もう1例でPMS1 (postmeiotic segregation increased 1)が自己抗原として同定された。このうち、SNRKは脳での発現が多く、病態に関与している可能性が高いと考えられた。
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