研究概要 |
【今年度の研究目的】 (1)ポリグルタミン鎖が、細胞モデル系で伸長数依存性に核に集積することを確認する。 (2)核-細胞間移動を蛍光技術により可視化しリアルタイム解析によりグルタミン伸長が病因蛋白の細胞内の移行動態に与える影響を検討する。 【方法】(1)異なる鎖長(Q12,36,56,79)のポリグルタミン鎖(部分DRPLA蛋白)を染色体上の同一部位に安定導入し、Doxycyclineにて発現誘導される安定細胞系(HEK293)を作製し、定量的蛍光解析、Western blotting、Pulse-chase analysisにてポリグルタミン鎖の細胞内蛋白挙動を解析した。 (2)ポリグルタミン鎖(Q12,Q79)にphotoactivatable-GFP(PA-GFP ; Dronpa-Green)を融合した蛋白を発現するplasmid(pcDNA5/DRRLA-Q12 or 79-DG)を作成。これらをHEk293細胞に一過性発現させ観察した。核および細胞質に関心領域を設定し、405nm波長励起にて光活性化を行い、リアルタイムにポリグルタミン鎖の核内移行、核外移行を解析した。 【結果】(1)ポリグルタミン鎖は伸長数依存性の核内蓄積を認めた。またQ79発現細胞ではubiquitin-proteasome system(UPS)を介したポリグルタミン鎖の分解の遅延(半減期Q12:8時間に対しQ79:22時間)があり、Q12に比し顕著な細胞内蓄積が確認された。 (2)細胞質から核への移行を表す核移行拡散定数はでDRPLA-Q12-DG 0.57、DRPLA-Q79-DGで0.43とQ79で遅延を認めた。核から細胞質への核外移行拡散定数はQ12で0.33、Q79で0.12とQ79で遅延を認めた。これらより核内蓄積現象はグルタミン伸長にともなう核外移行の遅延によると考えられた。
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