研究課題
従来、ヒトのプリオン病の臨床検査においては髄液の14-3-3蛋白と脳波検査での周期性同期性放電(PSD)が重要視されてきたことは言うまでもない。加えて脳脊髄液検査・MRI(特に拡散強調画像)による検査法が登場しプリオン病の診断に大きな前進をもたらしたが、診断の正確さの点からも早期診断という点からも診断マーカーとしてはまだまだ不十分である.今回我々はCJDと診断した患者(N=44)と当科入院患者(タウロパーチーを含めた神経疾患)(N=85)について14-3-3蛋白、総タウ蛋白(t-tau)、リン酸化タウ蛋白(p-tau)について検討を行った。又発症早期でのMRI拡散強調像と脳脊髄液中の14-3-3蛋白、t-tau、NSEについて検討した。さらに我々はCJD患者6症例に対し、発症又は入院時より3週間ごとに採取し、t-tauを測定した。結果としてt-tauは対照群に比べCJD患者44症例中42症例(95.5%)陽性に高値であり、14-3-3蛋白はCJD患者の44症例中39症例陽性(88.6%)であった。又CJD患者が病院に初診時受診しうる可能性のある期間が6週間以内と考え、発症早期を6週間以内と定義し、生化学診断マーカーと画像検査の検討においても脳脊髄液中の総タウ蛋白が最も感度が高い事を証明した。6症例で同様な経過をたどり、t-tau蛋白は発症初期1200-5000pg/mlであるが、急激に上昇し、6-12週後8000-20000pg/mlピークとなり、13週後より低下傾向を示した。以上よりCJD患者におけるCSFの診断のマーカーとしてt-tauは14-3-3蛋白よりも特異度、感度の点で優れている。又経過中のt-tauの推移は全例で一貫性があり、CJDの病態進行マーカーとなりうる可能性があると考えられた。
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Cell Mol Neurobiol In press