1.クロイツフェルト・ヤコブ病患者髄液中の生化学マーカーである総タウ蛋白、S100蛋白、NSE、14-3-3蛋白とMRI拡散強調画像の経時的変化を6症例での検討を行い、MRI拡散強調画像の経時的変化は陰性例もあり、さらに病状とは必ずしも一致しない事を証明し、さらに髄液中の生化学マーカーとしては総タウ蛋白が無動無言の前後にてピークを示し、その後低下する傾向があり、現在まで最も感度のいいマーカーであることを証明した。現在まで定期的に画像検査や脳脊髄液の経時にアプローチしたもののはなく、新規性が高い。 2.オステオポンティンは最近、多発性硬化症で異常高値をとることが報告された。この意味はまだ明確ではないが、多発性硬化症で活性されるマクロファージ/ミクログリアや、破壊される髄鞘との関連が考えられる。脳でのmRNAでの発現やCJD患者での脳切片におけるオステオポンティンとアストログリア・ミクログリアとの関連性について二重染色にて検討した。オステオポンティンは脳でのmRNAでの発現つまりin situ hybridazationでの発現を確認しただけではなく、オステオポンティンがアストログリア・ミクログリアの隣接していた事を証明した。又髄液中のオステオポンティンは多発性硬化症ほど発現は強くないものの、他の神経疾患に比べ優位に高かった。 3.未知の髄液中の特異因子の検索では髄液の2次元ゲル展開による継時的な比較検討を行なって、大きく発現量の異なる蛋白については質量分析機器(LC/MS)によって同定したが、いずれも既知のマーカーであり、新規マーカーの検出まで至らなかった。
|