過剰リン酸化タウに結合する蛋白質としてexcitatory amino acid transporter 2(EEAT2)を同定し、タウオパチーにおけるリン酸化タウとの相互作用を解析した。 {方法・結果}PHFタウカラムを用いて健常人剖検脳抽出液よりPHF tauに結合する蛋白質を精製・分離し、質量分析器にてグルタミン輸送体EEAT2を同定した。EAAT2はアルツハイマー病脳の神経原線維変化、進行性核上性麻痺脳glial fibrillary tangles、神経原線維変化にリン酸化タウとともに局在していた。アルツハイマー病脳サルコシル不溶性分画(PHF分画)には全長EAAT2とともにN末端EAAT2が認められた。一方健常人脳のサルコシル不溶性分画にはEAAT2は認められなかった。AD脳、PSP脳を用いた抗タウ抗体による免疫沈降では全長、N末端EAAT2はリン酸化タウと共沈降した。抗EAAT2抗体による免疫沈降ではリン酸化タウが共沈降した。一方健常人脳では共沈降されなかった。アルツハイマー病、進行性核上性麻痺のタウオパチーにおいて、特異的にEEAT2はリン酸化タウに結合することを明らかにした。 {結論}平成17年度においてEAAT2はAD、PSPリン酸化タウと特異的に結合しタウ凝集体・神経原線維変化の構成成分の一つであることを明らかにした。平成18年度はEAAT2はtauopathyにおける凝集体形成・細胞変性に関与していることを明らかにしていく予定である。
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