1.神経変性疾患モデルマウスの繁殖 平成17年4月に研究代表者が放射線医学総合研究所へ移動したため、同研究所においてモデルマウスの導入と繁殖を実施した。アミロイド前駆体トランスジェニックマウスおよびタウ蛋白トランスジェニックマウスの繁殖が、本研究の遂行に必要な数だけ行えている。また、神経細胞のみならずグリア細胞にアミロイド病理が出現するマウスの開発にも成功したことより (Higuchi et al. Journal of Neuroscience 2005)、同マウスの繁殖も計画に加えることとした。 2.核磁気共鳴画像(MRI)およびポジトロン断層撮影(PET)によるマウス脳アミロイドの可視化 かねてから予定していたMRIによるマウス脳老人斑の生体画像化は、アミロイド結合性フッ素化合物FSBと、高磁場・高分解能フッ素MRIにより実現できることが明らかになった(Higuchi et al. Nature Neuroscience 2005)。さらにPET用のアミロイドトレーサーである[^<11>C]6-OH-BTA-1と、小動物用高分解能PET装置を使用することで、高感度にマウス脳老人斑を検出できることが判明した。今後はPETとMRIを併用して老人斑や神経原線維変化の定量を実施する予定である。 3.モデルマウスへのアミロイド結合性化合物の反復投与 タウ蛋白トランスジェニックマウスに対してアミロイド結合性化合物FSBの静脈内投与を2週おきに計6回実施した後で、脳および脊髄を摘出しアミロイド病理を解析した。組織化学的および生化学的検査により、神経原線維変化の形成がFSB投与により抑制されることが示されたが、大脳皮質や海馬における抑制効果は、脊髄における効果ほど顕著ではなかった。そこで現在投与法を皮下注射に変更し、頻回反復投与を試みているところである。
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