#CLA-1と細胞増殖(アポトーシス)と動脈硬化 最近CLA-1の発現により副腎細胞であるが細胞の増殖が促され、その作用はHDL存在下でより促進されていた。細胞増殖促進はCLA-1のC末端の欠如により阻害され、PI3-K/Akt系が関与していることを証明した(BBRC in press)。現在wild typeのCLA-1およびCLA-1C末端mutantを血管平滑筋細胞・内皮細胞に遺伝子導入しDecoy CLA-1強発現細胞を作成し、細胞増殖・アポトーシスおよびCLA-1 C末端の関与する細胞内伝達系PI3-K/Akt・転写因子AP-1の影響について検討中である。また血管内皮細胞(HUVECs)にはCLA-1が発現しているが、動脈硬化進展に関与するAngiotensin II刺激により濃度依存的にCLA-1の発現が蛋白レベル、mRNA・転写レベルで抑制されることを見いだした。このAngiotensin IIによるCLA-1抑制効果に関与する細胞内伝達系を検討したところ、WortmanninやLY29402の添加により抑制効果が阻害され、この経路においてもPI3-K/Akt系の関与が推察された。CLA-1 C末端欠損mutant(Decoy mutant)の検討により、C末端がPI3-K/Akt系の情報伝達に関与していることが判明している。しかしC末端は、これまでの副腎皮質細胞などの検討でコレステロールの移送に関与しておらず、Decoy CLA-1強発現平滑筋細細胞・内皮細胞におけるselective cholesterol transfer・変性LDLの取り込みについて検討中である。さらに動脈硬化におけるCLA-1 C末端の役割について明らかにし、作動薬について検討予定である。 CLA-1は肝臓で強く発現しているが、高血糖によりそのタンパク・遺伝子発現は抑制されることを認めた。高血糖によるCLA-1発現抑制効果はp38 MAP kinase inhibitorにより阻害された。グルコース用量依存的にp38 MAP kinaseの活性化を認め、活性型p 38 MAP kinase遺伝子導入によりCLA-1の転写は活性化され、不活型のp38 MAP kinaseの遺伝子導入により高血糖によるCLA-1発現抑制効果は阻害された。つまり高血糖によるCLA-1発現抑制効果はp38 MAP kinaseを介する機序が考えられた。今後さらに動脈硬化の危険因子等に対するCLA-1発現について検討し、コレステロール逆転送系・抗動脈硬化の評価として検討予定である。
|