#動脈硬化とCLA-1 CLA-1相同遺伝子であるSR-B1の肝臓での発現は、コレステロール逆転送系を賦活し抗動脈硬化となることが報告されている。我々は肝臓で強く発現しているHDL受容体CLA-1が、高血糖によりその発現が抑制されることを認めた。高血糖によるCLA-1発現抑制はp38 MAP kinase inhibitorにより阻害された。グルコース用量依存的にp38 MAP kinaseの活性化を認め、活性p38 MAP kinase遺伝子導入によりCLA-1転写は活性化され、不活型p38 MAP kinase遺伝子導入により高血糖によるCLA-1発現抑制は阻害された。CLA-1 promoterの転写因子Sp1を含む領域の欠損により、高血糖によるCLA-1転写活性の抑制は認められなくなった。Sp1の発現により、CLA-1 promoterの転写活性は抑制され、Sp1発現抑制により高血糖刺激によるCLA-1転写抑制は阻害された(Am J Physio1EndocrinolMetab 2007 294:E78-87)。高血糖は心血管系のリスクファクターであり、高血糖による動脈硬化のメカニズムとして酸化ストレスなどがある。今回我々が検討したp38 MAP kinaseも炎症を介して動脈硬化を惹起することが知られている。つまり高血糖によるp38 MAPkinase/Sp1を介する肝臓でのCLA-1発現抑制は、糖代謝異常による動脈硬化発症機序の一因と推察できた。 #CLA-1とその発現調節 また肝臓でのCLA-1発現に影響する因子として我々はIFN-αの関与を発見した。IFN-αによりCLA-1蛋白の発現が減少し、またCLA-1のmRNA発現の低下・転写活性の低下を認めた。IFN-αによりHepG2におけるSTAT1/STAT2のリン酸化を用量依存的に認め、またsiRNAを用いたSTAT1/STAT2knock-down細胞においてIFN-αによるCLA-1発現抑制は認められなくなった。CLA-1promoter領域にはSTAT1/STAT2response sequenceがあり、EMSAを用いた実験により、その部位を介し たSTAT1/STAT2の作用により、IFN-αによるCLA-1発現が抑制された。(Gut 2008 57:664-671)
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