糖尿病治療において、インスリン産生細胞の移植は根治的治療になり得る。骨髄細胞よりインスリン産生細胞を作成し移植に使用することが出来れば、移植用細胞の不足の問題は解決が可能である。本研究は、骨髄細胞を培養する際の培養条件に工夫を加えるとともに、PDX-1、Pax4といった膵β細胞の発生・分化に関わる転写因子の遺伝子を細胞に導入することにより、骨髄幹細胞からのインスリン産生細胞の誘導を行い、より効率の高いインスリン産生細胞の発現を目指している。 1.アメリカ糖尿病学会年次集会に於いて、再生医療の情報収集し、MIP-GFPマウスの作成・管理者のHaraらよりマウスの入手法、入手許可を取得。 2.CMV promoterの下流にMulti Cloning Site (MCS)をもったプラスミドにRat Insulin Promoter (RIP)の下流にネオマイシン耐性蛋白発現遺伝子をつなげて挿入し、MCSにPDX-1およびPax4のcoding geneを挿入、その下流にIRESでつなげたハイグロマイシン耐性蛋白発現遺伝子を持つプラスミドを作成した。 3.それぞれ非β細胞、β細胞のcell lineである293細胞、およびHIT細胞を使用してリポフェクション法により細胞にこれらのプラスミドの遺伝子導入を行った。遺伝子導入された細胞はハイグロマイシンにより選択できた。また、これらの抗生剤により選択された細胞において、PDX-1の発現をRT-PCR法によりmRNAレベル、およびWestern Blot法により蛋白レベルでの発現を確認した。さらに、インスリン産生細胞のみネオマイシンにより選択可能であることをHIT細胞を使用して確認した。
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