研究課題/領域番号 |
17790621
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研究機関 | 国立長寿医療センター(研究所) |
研究代表者 |
森脇 佐和子 国立長寿医療センター, (研究所)・運動器疾患研究部, 流動研究員 (90399593)
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研究分担者 |
新飯田 俊平 国立長寿医療センター, (研究所)・運動器疾患研究部, 室長 (10137630)
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キーワード | VEGF / VEGFR-1 / Flt-1 / VEGFR-2 / Flk-1 / 破骨細胞 / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
骨代謝に重要な役割を果たす破骨細胞は、骨芽細胞から産生されるマクロファージ・コロニー刺激因子(M-CSF)と破骨細胞分化因子(RANKL)の作用で分化することが明らかにされている。当研究室では、M-CSF活性を欠損する大理石骨病(op/op)マウスや血管内皮細胞受容体1(VEGFR-1)細胞内ドメインを欠損させたop/opマウスを用い、破骨細胞形成におけるVEGFによるM-CSFの代償作用について研究を行っている。これまでの研究から、単球・マクロファージ系の細胞におけるVEGFR-1の発現が確認されていることから、本年度は、破骨細胞形成におけるVEGFR-1の細胞内チロシンリン酸化(TK)ドメインの重要性についてTKドメイン欠損(TK-KO)マウスを用いて検討を行った。 TK-KOマウスおよび野生型(WT)マウスから採取した骨髄細胞をG10カラムに供し、マクロファージ、間質細胞を除去後培養し、VEGFおよびRANKLを添加して破骨細胞誘導実験を行った。これまで、正常骨髄細胞の培養系にVEGF/RANKLを添加することで破骨細胞形成が誘導されることを示したが、どのVEGFRを介するかは明確には示されていなかった。そこで、TK-KOマウスの骨髄血球系細胞の培養系にVEGFR-1特異的リガンドである胎盤成長因子(PlGF)とRANKLを添加したところ、破骨細胞形成は起こらなかったことから、VEGFR-1の重要性が示唆された。ところが、VEGF-Aを用いても破骨細胞形成が誘導されたことから、VEGFR-2の関与も示唆された。そこで、VEGFR-2特異的リガンドであるVEGF-Eを用い検討を行ったところ、破骨細胞形成が観察された。このことから、VEGFによる破骨細胞形成誘導には、2つの受容体の関与が考えられた。しかしながら、VEGF-Aおよび-Eによって誘導された破骨細胞は、小型で核数も少ないことから、主要な経路はVEGF-VEGFR-1であると考えられる。
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