1)Notch2LacZノックインマウスを用いた、膵におけるNotch2陽性細胞の分布の解析 Notch2遺伝子座にlacZ遺伝子がノックインされたヘテロノックアウトマウスをβgalactosidase染色することにより胎児期および成体期においてのNotch2発現部位を明らかにした。Notch2は胎児期から膵管・膵島・膵内血管で発現していた。膵管は膵前駆細胞が存在する場として知られており、膵発生過程におけるNotch2の役割が示唆された。 2)膵特異的Notch2コンディショナルノックアウトの作成と解析 Pdx1プロモーター特異的にCreリコンビナーゼを発現するPdx.creトランスジェニックマウスを用いて膵特異的Notch2ノックアウトマウスを作成した。産生したマウスは糖代謝・膵組織において対照マウスと変化なかった。Notch受容体はほ乳類では4種類有ることが知られており、Notch2単独では膵発生において機能的意義がないか、または他のNotch受容体を介するシグナル、さらにはNotchシグナルに代償作用が存在する可能性等が考えられた。 3)膵特異的Rbp-jコンディショナルノックアウトマウスの作成と解析 全てのNotchシグナルのco-factorであるRbp-jをPdx.creトランスジェニックマウスを用いて膵特異的にノックアウトしたマウスを作成した。膵は低形成、インスリン分泌細胞は著明に減少し、生後にはこのマウスはインスリン分泌低下が顕著な糖尿病を呈した。グルカゴンやPP産生細胞、更には膵管細胞の分化が初期に亢進してしまうために、膵前駆細胞プールが減少してしまうことが組織所見から判明した。
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