研究概要 |
(1)全ゲノムマッピングを用いた罹患同胞対解析による自己免疫性甲状腺疾患(AITD)新規疾患感受性遺伝領域の探索 現在までに、昭和大学病院で日本人AITD罹患同胞対50ペア、昭和大学藤が丘病院で35ペアを収集しており、今後1年間で約35ペアを収集する予定。 (2)候補遺伝子アプローチによる日本人AITD感受性遺伝子の同定 【目的】欧米白人AITD102家系を対象とした全ゲノムマッピングで、AITDの疾患候補領域8q24、GDの疾患候補領域20q11が同定され、ポジショナルクローニングにより、それぞれサイログロブリン(Tg)遺伝子、CD40遺伝子が同定された。そこで今回、我々は、それぞれの遺伝子が日本人においても疾患感受性を認めるかどうかを検討した。 【方法】対象はAITD患者485名(GD301名、HT184名)と年齢と性別が一致した正常対照者179名を用いた。Tg遺伝子の一塩基多型(SNP)は白人AITD患者で報告されたTg遺伝子内に存在する14個のSNPを用い、PCR-RFLP法及びSnaPshot法にて検出し、X^2検定にて関連解析及び連鎖不均衡解析を行った。また、白人GD患者で関連が認められたCD40遺伝子のプロモーター領域のSNP(CD40-E1SNP)はPCR-RFLP法にて検出し、X^2検定にて関連解析を行った。 【結果】(1)GD患者において第34イントロンのSNP(Tg-E34SNP+33)のAアレル頻度は正常対照者と比較して非常に低率であり(7.6%vs.1.1%,p=2.0X10^<-5>,OR=7.3)、AAまたはAG遺伝子型はGD患者で非常に高率に認められた(14.1%vs.2.2%,p=3.4X10^<-5>,OR=7.2)。他のSNPではAITD群と正常対照群との間に分布の差を認めなかった。(2)CD40-E1SNPの遺伝子型の頻度はGD患者と正常対照者との間で有意な分布の差を認め(p=0.039)、CCまたはCT遺伝子型はGD患者で高率に認められた(89.7%vs.81.9%,p=0.015,OR=1.9)。HT患者ではアレル、遺伝子型の頻度ともに分布の差を認めなかった。 【結論】日本人においても、Tg遺伝子、CD40遺伝子ともに疾患感受性遺伝子であることが示唆された。
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