我々は成人T細胞性白血病においてセリン・スレオニンキナーゼAkt、及びその下流でcyclinD1やc-Mycなど細胞増殖を刺激する蛋白質の翻訳に関与しているmammalian target of rapamycin(mTOR)シグナルが活性化してることを見出した。更に、LY294002でAktを、またrapamycinでmTORを阻害すると成人T細胞性白血病細胞の増殖が抑制されることを見出した。興味深い事に、これら阻害剤を同時に投与すると細胞増殖抑制効果が増強することを見出した。以上は米国癌学会総会で発表予定である(2006年4月1日-5日、米国ワシントン)。 急性骨髄性白血病患者の約三割はFLT3やc-KITなどのtypeIIIレセプター・チロシンキナーゼに遺伝子異常を有しその下流シグナルAkt/mTORが活性化している。我々はこれらの症例から得られた白血病細胞において異常活性化しているAktがチロシンキナーゼ阻害剤SU11248で効果的に抑制され、細胞増殖がブロックされ更にはアポトーシスが誘導されることを報告した。またSU11248と同時にrapamycin誘導体RAD001を投与すると細胞増殖抑制作用が増強することを報告した(2005年米国血液学会総会にて発表2005年12月10日-13日、米国アトランタ)。 山椒の水溶性抽出液がTリンパ芽球性白血病Jurkat細胞においてAktのキナーゼ活性を抑制しその細胞増殖を抑制することを報告した(日本癌学会総会にて発表2005年9月14日-16日札幌市)。
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