研究概要 |
HIV-1陰性者由来のbuffy coatより末梢血単核球を分離し、R5 HIV-1臨床分離株および研究室株Ba-L、JRFLに対する新規のCCR5 antagonist AK602/ONO-4128/apravirocの抗HIV-1活性を調べたところ個体間でばらつきが認められた。感受性の差の要因について、まずCCR5の発現量について検討したところ、CCR5の発現量とapravirocの抗HIV-1効果の間には明らかな相関は認められなかった。次にCCR5の内部移行効果を来すことによりCCR5の発現に影響を与えるCCケモカイン(MIP-1α, MIP-1β, RANTES)の培養上清中の濃度について測定したところ、ケモカイン濃度が著しく高値の症例においては、apravirocの抗HIV-1活性が低下しており、CCR5阻害剤のCCR5への結合を競合的に阻害した可能性が示唆された。一方、ケモカイン濃度が低値である場合は、明らかなapravirocの抗HIV-1活性の減弱を認めず、ケモカイン濃度が低値であるほどapravirocの抗HIV-1活性増強傾向が認められた。また、apravirocおよびCCR5阻害剤の一種であるTAK-779を加えた後の末梢血単核球上のCCR5発現量について検討したところ、apravirocではCCR5の発現がわずかに増加し、一方TAK-779においては著しくCCR5の発現量の増加を認め、TAK-779がCCR5のturn overに何らかの影響を来していると考えられた。また、ケモカイン濃度についてもCCR5阻害剤存在下ではわずかではあるが上昇しており、CCR5阻害剤投与によるCCケモカイン濃度上昇による抗HIV-1活性の増強の可能性が示唆された。
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