研究概要 |
アレルギー疾患、自己免疫疾患発症の調節の鍵を握る分子としてInterleukin(IL)-18は注目されている。IL-18は免疫のTh1/Th2バランスの調節に重要であり、また自然免疫と獲得免疫の時間差を補う分子として考えられていること、自然免疫の中心システムであるToll-like receptorと細胞内シグナル伝達システムを共有していることなどから、生体の調節機構の解明のために非常に重要であると認識されている。今回、このIL-18タンパク・IL-18レセプタータンパク複合体構造を構造生物学的に解析し、病態解明・新規治療法の開発を目的としている。 平成17年度はIL-18レセプタータンパクの発現・精製を行った。IL-18リガンドレセプター複合の構造学的解析を行うためには大量かつ高純度のタンパクが必要である。これまでに我々はIL-18タンパクの大量・高純度精製系は既に確立している。さらにIL-18レセプタータンパクを同様に大量・高純度に精製するために大腸菌を用いた高発現系を検討してきた。より高純度なタンパクを発現させるため、現在、他の生物種を用いた高発現系を確立しつつある。現時点では、IL-18タンパクと結合能を有したタンパクを得られることが判明している。 また一方でIL-18タンパクがリンパ球よりInterferon-gamma(IFN-γ)を誘導することが知られている。そのIFN-γの量を簡便かつ迅速に知るためのhigh throughput screeningについても研究をおこない、fluorescence linked immunosorbent assayについて報告を行った(11.研究発表参照、Matsukuma E, et al.)。
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