研究概要 |
横紋筋肉腫(以下RMS)は,骨格筋分化制御遺伝子MyoD1やmyogeninが発現しているにもかかわらず,筋最終分化が抑制され未分化なまま増殖し続ける。その分化抑制機序は不明であり,それを明らかにすることを最終目的とする。さらに,RMSの二つの大きな亜型うち,キメラ遺伝子PAX3-FKHRを発現する胞巣型亜型の患者の予後は,比較的予後良好とされる胎児型亜型患者に比し,現在も極めて不良のままである。 これまでの研究で,RMS細胞における細胞増殖や細胞周期の進行に重要とされるIGF-IR/mTOR細胞伝達路における二つの大きな亜型である胞巣型と胎児型の違いが判明した。mTOR以下の4E-BP1のリン酸化状態に正常筋芽細胞株,胞巣型と胎児型RMSでは違いがあり,これとId gene familyの発現の各細胞間の違いに関連があると考えられる結果であった。 そこで胞巣型亜型に特徴的なキメラ遺伝子PAX3-FKHRについて,siRNAを作成し,細胞増殖や細胞周期について検討した。siRNAにてPAX3-FKHRをノックダウンすることにより,細胞増殖の抑制と細胞周期のG1細胞周期停止がみられ,さらに筋分化の傾向がみられた。今後,さらにPAX3-FKHRとIGF-IR/mTOR細胞伝達路の4E-BP1のリン酸化状態,Id gene familyの発現との関連を検討することを計画している。
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