研究概要 |
本研究は、1型糖尿病や自己免疫性甲状腺疾患の発症や病態に関与する新たな遺伝子についての検討を加えることを目的とした。昨年度に引き続き、FOXP3およびAIRE-1遺伝子について、NCBI(National Center for Biotechnology Information)を主として各種のデータベースを利用し、新規の遺伝子変異および遺伝子多型の検索を行い検討した。このうち興味深い遺伝子多型について検討を行うため、実験系を組み立てた。 併行して、乳児期発症の1型糖尿病の男児で、血小板減少症、白血球減少症、リンパ節腫脹および慢性腸炎を呈し、FOXP3遺伝子異常をもつIPEX(Immnodysregulation, Polyendocrinopathy, and Enteropathy, X-linked)が疑われる男児例についての検討を進めた。方法は、末梢血から抽出したgenomic DNAを用いて、FOXP3遺伝子のエクソン・イントロンバウンダリ領域を含んだcoding regionおよびpromoter、polyadenylation領域をPCRで増幅した後、ダイレクトシークエンスすることによってFOXP3遺伝子変異の解析を行った。NCBIデータベース上のreferense sequenceと患児および健康成人4名のシークエンスを比較した。データベース上に報告されている既知の変異は患児および健康成人において認めなかった。また、新規の変異についても、今回シークエンスを行った領域に関しては認められなかった。引き続き、1型糖尿病や自己免疫性甲状腺疾患の患児において、研究を進めていく予定である。
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