肺形成過程において、様々な転写因子、成長因子が重要な役割を果たしていることがin vitro、in vivoの研究で明らかにされている。Fibroblast Growth Factor (FGF)は、肺を含む多くの器官形成に重要な役割を果たしている。肺では、6種のFGF、5種の受容体が時間的、空間的に異なるパターンで発現し、肺発生をコントロールしている。一部のFGFについては、肺の形態形成における機能が明らかにされている。また、FGFの投与によって低形成肺の程度が改善する事が知られている。しかし、低形成肺の病態にFGFがどのように影響しているかは明らかにされておらず、また、低形成肺における、FGFRの発現の分布も明らかにされていない。本研究では、ニトロフェンによる肺低形成マウスを作成し、胎齢18日の肺におけるFGFR1-4の発現を免疫染色により同定、コントロール群と比較検討した。 FGFR-1:コントロール群では気道上皮細胞、一部肺上皮細胞、一部間質細胞が陽性であったが、ニトロフェン投与群では、気道上皮細胞のみが陽性であった。染色強度はコントロール群とくらべ減弱していた。 FGFR-2:コントロール群ではFGFR-1染色と同様、気道上皮細胞、一部の肺胞上皮細胞、一部の間質細胞が陽性であったが、ニトロフェン投与群では、気道上皮細胞のみが陽性で、染色強度も弱かった。 FGFR-3:コントロール群では、気道上皮細胞と、肺胞上皮細胞が陽性であった。間質細胞は染色されなかった。ニトロフェン投与群では、肺胞上皮細胞が陽性であったが、染色強度はコントロール群と比し弱かった。 FGFR-4:ニトロフェン投与群、コントロール群ともに染色は認められなかった。
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