これまでTACEの皮膚における発現と局在を明らかにし、肥満細胞で強い発現が見られたため、ラット肥満細胞株であるRBL-2R3におけるTACEの機能解析を行なった。RBL-2H3はイオノマイシン刺激によりTNF-αが遊離されるが、TACE阻害剤が濃度依存性にこれを抑制した。TACE阻害剤はTNF-αmRNA発現には影響しなかった。現在、刺激によるTACEの細胞内局在の変化を見るためにTACEの抗体や、FLAGをつけたTACE cDNAを遺伝子導入し検討中である。また各種抗アレルギー剤、免疫抑制剤によりTACEの発現や活性が影響を受けるか検討している。 創傷治癒過程において表皮および真皮の発現が亢進し、特に遊走しているkeratinocyteおよびfibroblastに強い発現が見られることをin situ hybridizationで見出した。Myofibroblastにも発現が見られることからTACEがFibroblastからmyofibroblastへの形質転換、細胞遊走、増殖、アポトーシスに関与するか検討中である。Keratinocyteは創傷刺激によりTACEmRNAの発現が亢進するが、様々な細胞増殖因子やサイトカイン添加による発現の変動は殆ど見られなかった。TACEは細胞周期との関連が示唆されているため、培養細胞を様々な薬剤を用いて細胞周期を同調させmRNA発現を解析中である。 TACE cDNA、およびdominant negative体をケラチン14プロモーターの下流につなげたコンストラクトを用いてトランスジェニックマウスを作成し、その表現型を検討中である。
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