研究概要 |
まず、カポジ肉腫ウイルスサイクリン遺伝子導入マウスの輸送をOregon Health & Science University教授Andrew Blauveltに依頼した。このマウスはリンパ潅流に異常があり、真皮に注入した色素がリンパ節に流れていかず、また胸水が貯留してくるなどのフェノタイプを持つ。アメリカと日本の施設で微小生物の感染に関する規定が異なることや、移送中の感染の可能性があるため、マウスが日本に到着後、実験動物中央研究所にてクリーニングを行った。その後、当初飼育予定であった東京大学動物実験施設にスペースがなかったため、国立国際医療センターの動物施設にて飼育を開始した。野生型マウスと交配することにより遺伝子導入マウスと正常対照である野生型マウスを半数ずつ確保した。これらを用いて接触皮膚炎の実験を行った。0.5%2,4-dinitrofluorobenzene(DNFB)を腹部と足底に2日間(day0,1)塗布して感作し、day5に0.25%DNFBを耳に塗布して惹起した。その後毎日耳の厚さを測定し。接触皮膚炎の評価を行った。サイクリン遺伝子導入マウス及び野生型マウス両者で接触皮膚炎反応が惹起され、反応の強さに有意な差を認めなかった。溶媒のみで感作したマウス及び溶媒で惹起したマウスでは接触皮膚炎反応は認めなかった。これまでの結果は接触皮膚炎反応へのリンパ潅流の関与を否定するものであるが、感作をかなり強い条件で行っているため、今後は一日だけDNFBを塗布したり、DNFBの濃度を低くしたりするなどsuboptimalな条件で、遺伝子導入マウスと野生型マウスの比較を行っていく方針である。
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