研究概要 |
EBウイルス(EBV)関連皮膚疾患は、種痘様水疱症、蚊刺過敏症、慢性活動性EBV感染症、鼻および鼻性リンパ腫などが含まれる.これらの疾患に対し、BamHI Rightward Transcriptsファミリー(BARTs)遺伝子の機能を解析するため、RT-PCR法で発現の確認をおこなった.その結果、潜伏感染、溶解感染とも全ての感染パターンでBARTs mRNAの発現が確認された.今後は、BARTs mRNAの発現を6種類のサブタイプ(BARF0,RK-BARF0,RPMS1,RPMS1A,A73,RB3)に分けて調べる予定である. より簡単にEBV感染を確認するための新しい検査法を考案した.EBV関連皮膚疾患は小児の顔面などの露光部に皮疹を認めることが多く、これらの疾患を疑った場合、従来は皮膚生検が必須であった.しかし、痂皮からRNAの抽出が可能であることを初めて確認した.これを利用して全ての感染パターンに発現しているとされるEBV-encoded nuclear RNA(EBER)・BARTsを標的としたRT-PCR法で皮膚局所のEBV感染を確認した.その結果EBER・BARTs RNAともに上記EBV関連皮膚疾患で発現が証明された.EBER RT-PCRは感度100%・特異度87.1%、BARTs RT-PCRは感度90%・特異度100%であり、感度・特異度ともにすぐれていることがわかった.この方法で、非侵襲的に皮膚局所におけるEBV感染の確認が可能となった.このためEBV関連皮膚疾患を疑ったときにまず行うべき検査法になりうると考えられた.
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