血液検体から抽出したDNAを用いた解析から、すでに遺伝子変異の位置が同定されていたCHILD症候群の患者において、臨床的にモザイク状の分布を呈する病変部と健常部の皮膚それぞれからDNAの抽出を試みている。疾患の責任遺伝子はX染色体上に存在するため、X染色体不活化の影響による機能的モザイクの結果としての表現型かどうかを証明するため、HUMARA法を用いて解析を行っている。現時点では、使用している皮膚検体が非常に小さく量に限りがあることに加え、パラフィンで包埋された組織から十分量のDNAを抽出することに苦労しており、HUMARA遺伝子を増幅するためのPCRの結果が一定して得られていない。そこで、DNAの抽出に用いるパラフィン切片の量(枚数)を増やすことや、抽出効率の高い市販のキットを利用する、プライマーを換える、PCRの設定を変更するなどの工夫を重ねているが、いまだに最適な条件の設定には至っていない。なお、臨床的モザイクを呈する他の皮膚疾患についても、同様の手法を用いて解析を行うために現在準備中である。
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