研究概要 |
我々は、培養したマウス骨髄由来肥満細胞(以下BMMC)の分化誘導過程において転写因子PU.1を過剰発現させると、形態・機能とも肥満細胞から樹状細胞様細胞に変化することを見出し、成熟したBMMCや腹腔肥満細胞にPU.1を過剰発現させた場合も同様な結果得た。そのうえ、肥満細胞にLPS刺激にてPU.1発現誘導される現象を認め、生体内で細胞外刺激により成熟した肥満細胞が樹状細胞変化しうる可能性を確認した。 今回は肥満細胞が樹状細胞様細胞に変化しうるためも細胞外因子について検討した。これまではPWM-SCMを用いた培養系にてBMMCを誘導している。PWM-SCMはIL-3が中心に含まれるが、その他GM-CSF、IL-4、IFN-γなども含む。今回は樹状細胞-マクロファージ分化におけるPU.1の機能をより明らかにするため、PWM-SCMの変わり,recombinantのサイトカインや増殖因子を用い、PU.1に必須な細胞外因子の働きについて検討した。 その結果、単球系の遺伝子発現分子として、CD11bやF4/80などが挙げられるが、これらは、他の細胞外因子を必要とせずPU.1単独で発現誘導を引き起こした。またIFN-γ添加後にMHC classIIが発現誘導する事を見出した。形態・機能とも樹状細胞様の機能を認めた。こららの結果より、肥満細胞から樹状細胞様細胞に変化するためには、さまざまな細胞外因子が必要であるが、MHC classIIの発現誘導にはIFN-γが必要であり、CD11bやF4/80の発現誘導にはPU.1単独で誘導することが判明した。
|