研究概要 |
平成17年度、我々は恐怖条件付けストレスモデルを用いて、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるcitalopramがラット扁桃体における細胞外セロトニン濃度に及ぼす影響について検討した。 1,電撃ストレスを負荷したラットの細胞外セロトニン濃度は、7日間連続して負荷したグループ、1日のみ負荷したグループと負荷しなかったグループで差は認められなかった。片側の扁桃体の基底外側核に挿入した透析プローブからcitalopramを局所投与すると、いずれのグループにおいても有意な細胞外セロトニン濃度の増加が認められた。7日間電撃ストレスを負荷したグループでは負荷しなかったグループと比較して、細胞外セロトニン濃度増加は有意に大きかった。一方、1日しか恐怖条件付けストレスを負荷しなかった群は細胞外セロトニン濃度の増加は負荷しなかった群と比べて変わらなかった。このことは、電撃ストレスを連続して負荷することによって、扁桃体の基底外側核のcitalopramへの反応性が変化することを示している。 2,電撃ストレスを負荷したラットに、片側の扁桃体の基底外側核に挿入した透析プローブからcitalopramを局所投与した。2時間おきに恐怖条件付けストレスを連続して負荷したところ、扁桃体において、恐怖条件付けストレスを負荷する毎に細胞外セロトニン濃度のさらなる増加が認められた。恐怖条件付けストレスを負荷した際に、citalopramを局所投与したラットでは、投与しなかった群と比べて、不安の指標であるすくみ行動の有意な減少が認められた。このことは、扁桃体へのcitalopram投与による細胞外セロトニン濃度の増加が抗不安作用をもたらすことを示している。
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