研究概要 |
通常の胸部写真では発見されないような微小な早期肺癌例がCTにて散見されるようになってきている。このようにして発見される末梢小型肺病変に対して従来の気管支鏡での到達は難しいことが多く、CT下での経皮的針生検でも目標が小さく術前の診断が難しい場合が多い。極細径気管支鏡は先端の径が2.8mmと非常に細く、気管支抹消まで到達可能である一方で非常に操作が難しくまた視野が狭い。その結果肺内での位置確認が難しく被検者の咳嗽反射により気管支鏡の位置ずれが起こりやすいなどの難点がある。MDCTにて収集されたデータから構築された3D画像及び仮想内視鏡は被検者の位置情報を持ち合わせており細径気管支鏡に位置センシングを行いこの2つの座標系で表現された画像データ問の位置的対応を決定することは可能である。これにより手技者は簡便に病変へと極細径気管支鏡を誘導可能となり、また気管支鏡先端部の軸位、矢状断、冠状断のCT画像で気管支内腔と病変との関係を把握し確実に生検を行うことが可能となる。肺門縦隔リンパ節に対する気管支腔内超音波検査でのエコーガイド下の吸引細胞診などの支援などの可能性も考えられる。我々は気管、気管支壁の透過性を変化させることにより気管支内腔の情報のみではなく周囲の血管やリンパ節をも色分けして同時に観察可能とした。この結果気管支鏡術者への術前及び術中の情報量は飛躍的に高まり安全に生検を行うことに役立った。極細径気管支鏡及び気管支腔内超音波検査支援仮想内視鏡システムの構築を行いその成果として肺癌患者の術前ステージングに関して"Comparison of endobronchial ultrasound, positron emission tomography, and CT for lymph node staging of lung cancer." Chest 2006 ; 130 : 710-8.として発表した。
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