研究概要 |
1.5T MRI装置(Signa EXCITE, GEメディカル)を用いて,健常ボランティアの頸椎のMR拡散テンソルの撮像を行った。拡散テンソルの撮像法として,EPI法とPROPELLER法の2つを比較したところ,EPI法の方がS/N比に優れていたがsusceptibility artifactによる画像の歪みについては劣っていた。parallel imagingを併用することで歪みは減少したが,固有のartifactが生じたため,代わりに撮像範囲の拡大・位相エンコード方向のステップ数減少という手法を用い,parallel imagingと同等の歪み減少効果を得ることができた。画像歪みによる誤差を最小限とするため,MRI装置付属のワークステーション上で,歪みの補正を行った。 撮像した拡散テンソルの画像データを,画像解析用ワークステーションに読み込み,拡散テンソル解析用のフリーウェア(Volume-OneおよびdTV II)を用いて解析を行った。同ソフトウェア上で,拡散テンソルの各種パラメータを計算した画像(fractional anisotropy, trace, isotropic image)を作成することができた。isotropic image上では,脊髄および脊髄神経を視認することが可能であった。脊髄のapparent diffusion coefficient(ADC)およびfractional anisotropy(FA)は過去の報告とおおむね一致した。ただし,脊髄神経については解剖学的に細い構造であるため,ADC・FAの値にばらつきがあり,各レベルで一定した値は得られなかった。
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