今年度は、まず方法論の妥当性を確認するため、MRIを用いた腫瘍潅流画像が骨盤領域においても正しく腫瘍血管床を反映しているかどうかについて検討を行った。対象は比較的頻度の高い子宮腫瘍である平滑筋腫41例とした。これら子宮平滑筋腫に対し、全例に腫瘍潅流画像の撮像を施行した。そのうち手術が施行され、腫瘍組織が得られた18例について、本方法から得られる相対的局所腫瘍血液量と病理学的血管床との比較検討を行った。病理学的血管床の評価ついては、CD34を用いた免疫組織染色を行った。結果は、相対的局所腫瘍血液量と病理学的血管床との間に統計学的に有意な正の相関を認められ、本方法が骨盤領域においても腫瘍血管床を反映する方法であることを証明した。これらの結果については、新しい知見であり、本年度の国際学会(第91回北米放射線学会、於シカゴ(米国)、平成17年12月)において発表を行った。一方、子宮癌についても本方法の施行をすでに開始しており、平成18年度はさらに症例を増やし、相対的局所腫瘍血液量と腫瘍の悪性度との関係や本法による化学療法の効果判定などの検討を行う予定である。特に、化学療法前後での腫瘍血液量の変化に着目して検討を行う予定である。また、本研究費で今年度に購入したMRI用マイクロコイルを用いて、超高磁場MRI(3テスラ)における、小動物の至適撮像条件の検討を行っている。これについては、将来的に子宮腫瘍モデル動物を用いた研究への発展を目標としている。
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