今年度は、昨年度の実績をふまえ、MRIを用いた腫瘍潅流画像が骨盤領域においても正しく腫瘍血管床を反映しているかどうかについて、子宮筋腫を用いた検討をさらに症例数を増やして行った。その結果、本方法は骨盤領域においても腫瘍血管床を反映する方法であるという結果を得る事ができた。これらの結果に関しては、現在論文作成中であり、来年度中には学術雑誌に発表の予定である。また、子宮癌についても本方法を9例の手術例に対して施行し、本法から得られる腫瘍血液量とCD34を用いた免疫組織学的染色から得られる腫瘍血管床との対比検討を行った。しかしながら、子宮筋腫とは異なり、悪性腫瘍は非常に不均一な組織であるため、画像と病理との対比が困難であり、十分な検討結果を得る事ができなかった。一方、化学療法前後に本方法を撮像した6例の子宮癌に関しては、化学療法前後での腫瘍血液量の変化を本法により定量的に捉えることができ、その変化を画像化することにも成功した。この研究結果については、新たな知見であり、本年度の国際学会(第14回国際核磁気共鳴医学会、於シアトル(米国)、平成18年5月)において学術発表を行った。さらには、本研究費で平成17年度に購入したMRI用マイクロコイルを用いて、超高磁場MRI(3テスラ)における小動物の至適撮像条件の検討を、昨年度から引き続いて行っている。 来年度は、これらの研究について、対象症例数を増やし検討する予定である。さらには、得られた最終的な結果を学会報告し、査読のある学術雑誌に発表する予定である。
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