研究概要 |
Coherent SSFP法は、数ミリ秒間隔で照射されるRFパルスにより形成された定常状態下でデータ収集を行うことを特徴としているが、定常状態以前のデータを使用することにより、初期アーティファクトと呼ばれる偽像が生じるという問題点がある。本研究では、TARD法と呼ばれる簡便で効果的な手法を提案し、その臨床応用、評価を目的とする。特に今年度では、本手法の唯一の問題点であった、RFパルス位相増分角調整の自動化を主に試みた。 開発したのは以下の4手法である。1.新たな撮像を行わず、傾斜磁場の減分とスライス位置から計算する手法、2.各撮像スライス毎に、位相増分角を変えながらシングルショットTARD撮像を行い、アーティファクトのない画像を自動で選択する手法、3.撮像スライスに垂直な断面上でシングルショットTARD撮像を行い、最適位相増分角を求める手法、4.3D-HARP法を用いた3D撮像法。各手法の結果は以下の通りである。手法1では最適位相増分角が最大60度程度の誤差が生じた。手法2は、視認で行うには最も安定して最適角を得られたが、画像処理による自動化は困難であった。手法3,4は、双方とも強度画像の視認による最適角の推定は可能であったが、2D-,3D-HARP法による自動化には、使用するコイルの位相空間分布を求める必要があることが分かった。本年度の結果から、手法4の改良が有用であることが推察された。 また、3D撮像におけるTARD法の有用性を調べるため、3Dタギング画像撮像への応用を試みた。その結果、TARD法単独では効果は小さいが、LISA法を組み合わせることにより、十分に初期アーティファクトを軽減出来ることが分かった。
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